五. (補)協同労働という働き方

【労働とは何なのだろうか】

私たちは、労働を通じて、人間は人間らしく成長・発達できると素直に思えるでしょうか。「労働とはそういうものではない。生活するための苦役の一種なのだ」「所詮疎外だ」と達観する人も多いかも知れません。百歩譲ってそうだとしても、それは職があった時代、年金に期待できた時代の話、私たちは「誰かに雇ってもらわなければ生活できない」という仕組みに翻弄される今を知ってしまいました。今は、多くの人が雇用労働ではまともな労働から外され、非正規労働による雇用、労働者を消耗品扱いとする「雇い方」がはびこっています。経営とは事業目的遂行のためにヒト、モノ、カネを効果的に活用・管理することと言われてきました。本当にそうでしょうか?特にヒトについて。協同労働はこれに異論を提示しました。

【新しい働き方としての協同労働】

働く一人ひとりが主人公となる事業体をつくり、生活と地域の必要・困難を、働くことにつなげ、みんなで出資し、民主的に経営し、責任を分かち合う、そういう新しい働き方に地域や行政の関心が集まってきています。「協同労働」という世界です。協同労働は今世紀入り口から、ワーカーズの働き方として実践的にも理論的にも発展させてきたものです。ですからワーカーズ・コープは別名「協同労働の協同組合」として広く認知を得てきています。高齢協の全国連合会(日本高齢者生活協同組合)発行の冊子『高齢者生協での働くみなさんへ ともに手を取り合って、地域の中で』においても協同労働に言及しています。

【規律をもった協同労働】

協同労働は雇用労働に対比されますが、しかし単なる「非雇用」労働ではありません。事業体内では協同労働はその名の通り協同する複数人による組織労働であって、そこで働く労働者同士の「対等と自治」(市民原理)が働く場に浸透することによって協同労働の基盤が成り立っています。具体的には、徹底した話し合いやリーダーの選出は必須であり、そのリーダーの指揮下にどういう範囲で入るのかは、それこそ自治の仕組みそのものです。

【生活と地域を変える協同労働】

冒頭にも述べたように、協同組合で働くということは働く一人ひとりが地域と結ぶことに基本的な特徴があります。協同労働では、その結び付きを人と人との直接の協同というつながりで実現しようとします。労働者側からの目から見ると具体的には、労働者同士の協同、利用者との協同、地域との協同となります。しかし、冒頭ではもうひとつ、地域住民が主体の事業体であると述べました。その主体の中から具体的に事業に就労する(働く)人たちが中心となる協同組合です。けっして「働く人を雇って起業する事業体」ではありません。これは生活と地域を変えようとする地域の当事者主体の協同起業と言えます。