先日の新聞報道によれば、日本の総人口はいよいよ減少過程に入った。統計的にはかなり前から予想されていたことであり、少子高齢化社会の到来ということについても同様である。他方で、世界の総人口は急速に増加しつつある。同じ新聞報道であったと思うが、日本の小学生の総数が630万人あまりであるのに対して、全世界で小学校入学以前に亡くなる子供の総数は740万人を超えるとのことである。
人口問題は、個別の国と、世界全体では事情が異なる。ただし、これからは人口問題や資源の問題については、各国が対応を考えると同時に世界の問題、という視点からも考えなければならないと思う。
今後、目指すべき社会の在り方としては、共同、協同、持続的社会、それにヨーロッパなどでは社会的経済など、さまざまなキイワードが用いられている。それぞれにアクセントの違いはあるが、共通点を要約すれば民族とか国は違っても、世界の人々が協力しあって、より良い世界をつくるために協同しましょうということが一つ。もう一つは資源の持続的利用方法を考えましょう、ということではないでしょうか。
たとえば、共生ということは、多数の民族がともに平和に暮らすということ以外に、人間が自然界の多くの動物や植物、さらには自然環境そのものとの相互依存関係を持続するという持続的社会を意味しています。
また、協同というのは競争しあうという意味ではなくて、お互いが助け合うことによって、
社会全体の福利を高めるということだと思います。
ところで、私たちの周辺の社会はどうでしょうか。前述のように、日本の人口は明治維新いらい(特別なケースを除いて)増加傾向を続けてきましたが、今年から減少傾向に転じました。それがすぐにどのような影響となって現れるか、ということはわかりませんが、例えば私たちの身近なところでは、若い介護士が不足してアジアの他の国々から応援を求める、という状況があります。それでは、労働力一般が不足しているのか、といえば、若い学卒労働者の失業率が非常に高くて、学生は「シュウカツ」に追われているという社会現象もあります。
さきに述べた、人口減少状況を都道府県別にみると、やはり作年の東日本大震災と原発事故の影響で福島県や宮城県などが目立っています。すでに1年以上が経過しましたが、依然として問題の基本的解決の見通しは立っていません。それどころか、政府が押しすめようとしているのは、原発の再稼働と消費税の引き上げですから、困ったものです。その基礎には、依然として市場原理主義(新自由主義)とそれの拡大としてのグローバリズムがあります。いま私たちに必要であり、かつ求められているのは、まさしくそれに代わる、協同と共生、人間と自然(資源)との持続的関係の再構築にほかなりません。これも簡単なことではありませんが、人口減少過程に入った今、私たちはそちらに向けて大きくハンドルを切り替えましょう。

(田中 学)