【ズジスワフ ベクシンスキー】
私の好きな、今は亡きポーランドの画家である。
「終焉の画家」と呼ばれる彼の作品に、多くの者は独特の不安感と荘厳さを感じる。そして作品にはひとつも題名がなく、コメントもない。見る者に全てを委ねるようなものだ。
絵画には、何処までも続く鈍色の海、鮮やかな色彩の空、宙に浮かぶ巨大な廃墟。人骨などで構成された人型の何か、燃え盛る街。
そんな、まるで人類がいなくなった後の世界を描いているような作品だ。
time4_yoruしかし暗く描かれた幻想世界の中に時折、美しい夜空や月、親子のように抱き合う何かなどが度々登場する。
それは彼が大戦により身近に死が溢れた世界でも、人や自然への愛情を見出して失わなかったからでは、と考えている。
話は変わるが、ベクシンスキーはなんと還暦から、パソコンを使って絵を描くことに挑戦していたそうだ。絶望を描きつつ探究心に溢れる、何とも不思議な画家だ。