藻谷浩介+NHK広島取材班『里山資本主義』(角川書店)
「里山資本主義」とは、なんだ?と思われるであろう。その「なんだ?」が、この本の出発点である。資本主義経済(マネー経済)の、いわば対極に「里山」という資源(環境)を置き、そこから現在の経済・社会・暮らしを見直してみようというわけである。
「里山」の説明から始めると、長くなるが、ともかく「高度経済成長期」以前の農村社会では、電燈以外の日常生活のエネルギー、炊事、風呂、暖房等々はすべからく薪や炭、つまり里山からきていたのである。私の家でも、稲刈り,麦播きなど秋の農作業が終わると、一家をあげて「里山」へ薪を集めに出かけたものである。しかし、今では「里山」は利用もされないで、荒廃している。他方、石油や天然ガスの輸入に大金を使い、その代償としての貿易輸出をふやすために国も、個人もあくせくしている。
だが、お金(マネー)の多寡が生活(暮らし)の豊かさの尺度であろうか?今必要とされているのは、真の豊かさとは何か、という発想の転換ではないか。別の価値観でみれば、自分たちの足元にも、多くの資源が利用されないで、いるのではないか。その一例が「里山」ではないか、ということである。