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多世代の福祉ニーズに応える ふくしの生協
2020-11-18

労働者協同組合法の成立

《理事長 田尻孝二》

1、労働者協同組合法(労協法)の意義

労協(労働者協同組合)の規則を定めた労協法案が、議員立法として今国会に提出され全会一致で成立する見通しとなっています。
労協は「①組合員が出資する②組合員の意見を運営に反映する③組合員が組合の事業に従事する」の3つの原則で運営されます。
センター事業団など、このような考え方に基づき働いている組織はあったのですが、法制化されていなかったため法人格を与えられず、やむなくNPOや企業組合などの法人格で事業や活動を進めていました。
法案が成立すれば既存の労協の移行の他、地域に新たな労協が数多く生まれることが予想されます。格差が拡大し、非正規労働者が増加を続ける中で、特に若い人たちがこの仕組みを使って新たな事業を起こすことができるのは、社会にとって大きな希望でしょう。
東京高齢協は今まで同様に他生協、労協と連携して地域の事業を進めていきます。

2、労協法の概要

労協の3つの原則は労協法の条文の中で成文化されています。
構成については、総組合員の5分の4以上は事業従事者であること、事業従事者の4分の3以上は、組合員であることが定められています。また、事業従事者は組合と労働契約を締結します。
設立に際しては法律に則っていれば、行政の認可を必要としません。3人以上の発起人を必要としますが、手続きは生協よりずっと簡単です。
法律の中身を見ると、労協が「働く人たちによる働く人たちのための協同組合」であることがよく分かります。

3、生協との相違

労協が働く人たちのための協同組合であるのに対し、生協は利用者のための協同組合です。高齢協は高齢者自身が自分たちを高める活動を組織理念の一つとしています。介護サービスの利用者をはじめ、サロン活動をしている地域の方々が組合員として多数参加しています。
労協の運動から生まれた高齢協がシニア労協ではなく任意団体から生協の道を選んだのも、そのためと思います。特に法制化された労協では事業に従事しない組合員の存在が難しくなっています。

4、仕事おこしと労協

一方、東京高齢協の中でなかなか成就しなかった仕事起こしについては検討の必要があります。従来は仕事をする者、仕事を依頼する者がともに組合員でなければならないため、双方のニーズがマッチして仕事が成立することが難しい状況でした。特に東京は組合員が分散しています。労協の仕組みならば、ネットなどを活用して高齢者のための生活支援の業務を展開することも可能です。
ただし、高齢者の中には生活のための報酬を得るのではなく、地域のために働くことに価値を見出している人もいます。生きがい就労には労働契約の締結が馴染まない部分もあります。今後、ボランティア就労を包摂して協同組合の中に位置付ける新しい法整備も必要なのではないでしょうか。
近隣の高齢協とも協力して、高齢者の仕事の新しいデザインも考えていかねばと思います。

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